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レゾンデートル

レゾンデートル

著者:知念実希人、発行所:実業之日本社

 末期癌を宣告され、自暴自棄な生活を送っていた医師・岬雄介は不良に絡まれて暴行を受けてしまう。その不良へ復讐することが絶望していた彼の生きる希望となる。自分に暴行を加えて不良を見つけ出し、殺害してしまった岬。そこへ世間をにぎわす連続殺人鬼・ジャックから電話がかかってきて、不良殺害の捜査攪乱と引き換えに共犯となってしまう。

 ジャックの指示のもと殺人を行っていく生活を送る岬ですが、ジャックが殺害を指示する人物とは、麻薬を売りさばき未成年を食い物にするディーラーの元締め、知的障害者の子供たちへ性的暴行を繰り返していた学習塾経営者、たちの悪い闇金のトップなど法的に裁かれない悪人ばかりであり、そのため、岬は正義を遂行していると自身の殺人という行為を正当化するようになっていました。
 しかし、ある出来事をきっかけに、ジャックに殺人をやめさせようと翻意し、ジャックの正体を突き止めるために動き出します・・・。
 
 謎解き物で、主人公の設定が「余命わずか」という小説を読んだ記憶があまりなかったので、謎解きと「余命わずか」の主人公という設定がどのようにマッチしていくのかを楽しみに読み進めました。
 岬が先輩医師から学んだ教訓で、私が気に入った言葉。

『死』は敗北などではない。もっとも重要なことは『死』から逃れることではなく、『死』を受け入れるまでにいかに意味のある『生』を送れたのかなのだ。

 この言葉が伝えたかったからこそ、筆者は「レゾンデートル」(存在理由)というタイトルを選んではないのかなと思いました。

今日は以上です。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

こうじ

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